炒り豆腐とカマイタチ

雲って寒い。股関節も痛むので、今日は出掛けずに済ませる。

お昼には、ストックの乾物や冷蔵庫の中のもので炒り豆腐を作る。
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干しシイタケと刻みキクラゲを寝る前に戻しておいた。あとは長ネギの青いところ、人参、生姜、豆腐、そして卵で仕上げる。

こういうお惣菜が美味しい。




昨夜、チクチクと縫い物をしている時、指先を怪我してしまった。指に針を刺して血が出たなんて日常茶飯事なのだが、今回は不思議な怪我だった。

針を布から引き抜こうとした時に手が滑り、指先で針の軸の部分を目いっぱい弾いた。その際、針の軸部分が指先の皮膚を割った。

そう、指先の皮膚がちょっと、だけどぱっくりと割れたのです。それで血が出た。

どうして「目いっぱい」弾いた(はじいた)のか、それは少し太い糸で縫っていたので、針もそれなりに太く、布から針の頭が抜け難くてきつい。それで、かなり指先に力をこめて引き抜くのです。

時々手が滑り、掴み損ねた針の先で指を突いたりする訳で、今回はつかみ損ねて針を弾いた(はじいた)という事なのですが、ご想像できるでしょうか。

こういう事が無い為にも、指ぬきを使えば良いのは解っている。でも、指ぬきは使い慣れないし、既に指先が自然の指ぬきと言えるくらいに固くタコになっていて、必要性を感じなくなっていたのだ。

しかし指ぬきだったら幾ら切っても血は出ないが、人の指からは出るから困る。痛いしね。

「弾いた」というのがまさしく適切で、お箏の弦を爪弾くような感じに、思いっきり針の横っ面を弾いた。お箏ならばピッキングする為の「爪」を着けるけど、これは縫い物だから無防備な指先で弾いてしまった。そしたらパッカリ割れて、ああ驚いた~。

まあこんなもん、大した怪我ではないのだけど、これで子供の頃のエピソードを思い出したんだ。私には記憶がないくらい小さな頃の出来事で、昔々、母から聞いた事なのだけど。

私は大人がたくさんいる環境で育ったせいか、言葉を発するのが早く、大人たちも面白がってどんどん言葉を覚えさせたらしい。

しかも私はお調子者だから、大人たちにウケるのが嬉しかったようで、色んな真似を披露してみせたらしい。ちょっとした形態模写が多かったようなのだが、そういう事を自分がしていた事も覚えちゃいない。

ある日、祖母の長い和裁用のモノサシを杖に見立てて、腰を曲げて老人の真似をして見せていた時、何かにつまづいたのか畳の上でスッテンコロリン転んだそうだ。その時、喉の上の辺りがパックリと割れて、多少の血なんかも出て、医者に担ぎ込まれたらしい。

その時の「ばっくり」傷は「カマイタチ」だったのではないかと、祖母や母は言っていたそうなのだが、喉元に小さな縫い跡がうっすらとあるだけで、それも鏡で顎をうんと上げて見なければ見えない場所だから、日頃すっかり忘れている。

それが痛かったのかどうかも全く覚えていないのだ。なんたって2歳前後の事で、まだ妹が生まれていない頃の出来事だったから。

「カマイタチ」なんて非科学的な・・・とは思うけど、モノサシで喉を突いただとか、切った傷ではなさそうだったし、ぱっくり開いた割に出血が少ない様子を昔の人はそう表現したらしい。

いったいどういう怪我だったのかは謎のまま60年が過ぎた。もうお婆さんの真似事なんかしなくても、幼かった私はあの頃の祖母の年齢を越してしまったよ。

もしや、今回の指の怪我も「カマイタチ」の仕業だったんだろうか。なんちゃって。
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[ありし日のイオ:誰がカマイタチよ?]

あらやだ、イオちゃん、カマイタチって猫じゃないのよ、「妖怪カマイタチ」なのよ・・・多分・・・いえ、嘘です、ちゃんと解明されていないらしいけど、まあ、何かの拍子に切れる事だってあるんでしょう、きっと。

今回はバンソウコウを貼っておけば、針仕事も料理も問題なく出来ている。

但し、水を使う仕事をしていたら、折角傷口を固めていた血が流れてしまい、またぱっくり開いてしまった。痛いので、いばらく水に濡らさないようにしよう。

従って洗い物は全て夫がする。ま、それはいつもの事だけど、調理中のアシスタントとしても「はい、このまな板洗っといて」なんて塩梅に使っちゃう訳です。

それから顔も洗わないでおく・・・と、これもいつもの事か。目の周りだけは左手で洗いますよ、目玉が痒くなるからね。

by kazue_gomajam | 2019-02-27 20:28 | 料理・食べる事

沢山の猫と暮らして来た時代の名残り。2020年10月に夫と共に断行した私の故郷への移住、小さくとも好きなものに囲まれた終の棲家で送る夫婦の隠居・隠遁の日々、食べる事や庭いじり、布や糸や木での手作り、映画や音楽・絵画、道具たちについて、そして雑多な想いを書き散らしています。1999年から手作り運営していたHPのコンテンツの1つ「猫雑記」を2018年分からはブログ形式にて継続しています。


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